システムオブシステムズ研究会(第11回)報告
報告者 落水浩一郎
第10回システムオブシステムズ研究会を下記のとおり開催したので報告する.
記
1.日時:2020年11月18日 18:30~20:40
2.場所:オンラインZOOMミーティング
3. 出席者(アイウエオ順、敬称略):日下部茂(長崎県立大)、艸薙匠(東芝)、栗田太郎(ソニー)、新谷勝利(新谷ITコンサルティング)、瀬尾明志(日本ユニシス)、富松篤典(電盛社)、奈良隆正(コンサル21世紀)、方(ファン) 学芬 (SRA先端技術研究所) 、Huyen Phan Thi Thanh(日立)、堀雅和(インテック)、矢嶋健一(JTB)、落水浩一郎(UIT,世話人)
4. 議事:
(1) 18:15~18:30 接続準備・挨拶他
(2) 18:30~19:30 講演 落水浩一郎(UIT)「VSM(Viable System Model)に基づいたプロジェクト管理システムのSoSへの適用」
複雑系のシステムに対するプロジェクト管理システムの設計、適用例を紹介した。
従来のプロジェクト管理は、まず計画をたて、その進捗を監視し、計画とはずれるところがあれば調整する。プロジェクトが失敗した場合は、その原因を追究し、次回以降の計画に反映させるというものであった。
複雑系システム開発の場合は、確率的、動的、創発的特性のため、不十分かつ部分的な計画しかたてられないので、上記のプロジェクト管理技法ではうまくいかず、環境のスキャニング、内部監視に基づいて、動的安定性の維持を目標としたプロジェクト管理が必要であるとする。
上記の立場から、VSM(Viable System Model)に基づいて設計されたプロジェクト管理システムをSoSに適用した例を紹介し、複雑系のシステムを開発する際、どのようなプロジェクト管理手法をどのように適用すればよいかという問題に関して理解を深めた。得られた結果は、用語の統一、利害関係者のものの見方/考え方の違いの調整など、ごく常識的(平凡)な知見であった。
(3) 19:30~20:30 議論
① 今回紹介した論文で対象としている複雑系のシステムは、われわれの世界(情報システム)に現実に存在するのか?
ソフトウェアシステムの場合、結果的に複雑になるにせよ、最初から複雑になるわけではない。作るときはシンプルを心がけている(富松さん他、多くの参加者の意見)。
② 環境のスキャニング・内部監視に基づいて動的安定性の維持を保つというプロジェクト管理法は危険ではないか?
状況がかわるのを管理するということの必要性はある。例えば携帯の開発では、アジャイル開発を行い、ユーザとともにシステムを進化させていくことを心がけている(栗田さん他、多くの参加者の意見)。
③ 複雑系システム、動的安定性の維持を目標としたプロジェクト管理、その理論的背景としてのVSMモデルをどう評価するか
作り話であるような気がする(多くの参加者の意見)。
アジャイルスクラムの理論的背景をVSMをもとに作れないか
(4) 20:30~20:35 次回会合について
5. 今後の予定
第12回:SoSとマイクロサービス(落水予定)
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